登録派遣により獲得したお客様を少しずつ減らしていくコトだった。時と場合を考えたとしても確かに苦渋の決断であったのは間違いない。フツーならば・・・という考えを以て物事を吟味すると、私のやろうとしているコトは不思議で不自然なことばかりだ。喉から手が出る程に欲しいお客様を減らすのだから止むを得ない。ただ目先の利益ばかり追い求めては、大きな将来性を確保することには決して繋がらない。要するに甘んじてはならんのだ。そもそも今、預からせて頂いているお客様は自分自身の力で獲得したお客様ではない。派遣会社を通じて獲得したお客様ばかりであり、家庭教師としてその末端を支えているだけにしか過ぎない。家庭教師が良くてお客様から指示されたのではない。派遣会社のシステムに興味を示して頂いたからこそ、今のお客様がいらっしゃるのだ。ココを変えないといかんのに私情を挟んで、あぁ〜でもない、こぉ〜でもない、という理屈をこねるのは大きな矛盾。だからこそ脱却せねばならない。
今のお客様を家庭教師そのものに魅力を感じて頂けるお客様に変化させれば自ずと成功は導かれるはずだ。ニーズが無ければ今の状況には至っていない。ニーズは存在している。お客様は問題を抱えて困り果てている。だからこそご依頼に繋がる。けれども現状では、その辺りに見当たらないからこそ、間口の大きいところへどうしても目と足が運ばれてしまう。料金的な問題やシステマティックな仕掛けがスクランブルされているにも関わらずお願いしないといけない状況がある。例え向こうサイドの見えない不安感が存在していても、ご依頼の一途は途絶えていない。他に無いからお願いするしかないからなのだ。確実にジレンマが存在している。このようなジレンマが起こらないような仕組み創りを行えば、自ずと価値観のあったお客様が連絡して下さるのは間違いない。お客様を信じて自分自身のヤルべき事を信じて取り組むべき行動に全力で徹するしかない。お客様が気になられるポイントは、とってもシンプルでクリアーでないといけないはずだ。私には半年後に絶望的な極地が控えている。資金が底をつくのも最早、時間の問題、ということも既にこの時ばかりは明らかだ。恐らく半年と掛からないだろう。何とかして登録派遣以外の手段でお客様を確保しないといけない。勝負に出るしかない。
「そうだ、宣伝広告をしよう!!!」
真っ先に思い付いたのが新聞の折込チラシ。さすがに陸の孤島で大声をあげても手をあげても、周知させるコトが出来なければ単なる家庭教師ゴッコをやっているにしか過ぎない。知ってもらうコトはとても大切だ。とにかく新聞の折り込みチラシを制作することにした。チラシなんかの作り方なんて、まったく知らない。だからとにかく各種様々なチラシを参考に作ってみた。当時、パソコンの使い方がままならなかったので、とりあえずA3サイズ程度の大きい紙に手書きで精一杯書きまくった。それを印刷会社へ手持ちで持ち込んで印刷をお願いした。もちろん変な顔をされたが私の目から火花のようなビームのような光線が出ていたようで、個人の持ち込みは受け付けられない、というルールをひっくり返した。印刷も仕上がって最後に新聞屋さんへ持ち込んで折り込みを依頼して待機した。まさか、この新聞屋さんへの持ち込みが今後、大きなドンデン返しとなろうとは知る由もなかった。社会の厳しさ、を改めて実感したのだ。。。<つづく>