いよいよ試練の夏が始まろうとしている。中学受験、高校受検、大学受験を控えている受験生にとっては、自分が生きていくうえで、本当に大切なものを見付ける良いキッカケにしてもらいたい。そこで、今日は、4年前に承らせて頂いたお客様の内容をご紹介することにする。校内偏差値20代30代40代の受験生は、今からでも頑張れば十分に頑張り通す事が出来るんだという意識を強くもってもらいたい。まだ終わっていないんだから、絶対に諦めては、いけないんです。勇気を出して頑張ってもらいたい。受験塾家庭教師へのたった1本の電話で自分の人生を大きく左右するとは、結論がでるまで思ってもみなかっただろう。
それは、H17年4月3日夜8時頃の1本の電話から始まった。学習指導を始めることになったキッカケは、大変、お世話になっているお客様の紹介からだった。そのお客様から「紹介したい生徒さんがいるんだけど、 連絡してもらえますか?」心高ぶる思いで、「もちろんです!!了解致しました(嬉)」私は考える間もなく即答!!その客様からご紹介先の連絡先を教えて頂 いてから、電話を切ること3分後、早速、ご紹介頂いた連絡先に電話を入れることにした。。。「お忙しいところ申し訳ありません!!受験塾家庭教師の和田です。M様のご紹介で、お電話させて頂きました。今、お話しさせて頂いても大丈夫ですか???」「ところで、どうなさいましたか?」いつものように連絡してみる。ご紹介先のお客様は「ちょっと成績が・・・汗」その雰囲気からして、これはかなり厳しい状態だと予感した。早々に訪問日時を設定し、後日、お伺いする約束をとりつけた。
H17年4月5日6時30分頃に面談をすることになった。第一印象は大人しい雰囲気の素直そうな中学3年生で、音楽大好き中学三年生。とに かくスピッツが大好きらしく、ギターを引く練習をしているようだ。成績を拝見させて頂いてみると本当に厳しい状態だったのにはア然としてしまった。しかし、驚 いてばかりもいられないので、我にかえって対策を練ることにする。この時点で受験まで一年を切っている・・・成績は散々、この状態だったら公立高校はおろか滑り止め対策としての私立高校すら合格出来ない状態(汗)例え合格出来る受験としても私立専願は必至(痛)そんな状態にも関わらず私は、第一目標として私立高校では、東洋大学付属姫路高等学校(以下、東洋大付属)、公立高校では、飾磨工業高等学校(以下、飾磨工業)多部制を受験しようということで予め目標という事で設定させて頂いた。家庭教師で受験を乗り切るのだから、これぐらい高い目標を設定するのは、必然!!本人と親御様のご意見を尊重し、ご予算と受験までの時間、現在の成績、過去の成績を考慮に入れての目標なのは言うまでもない。現実的な話をし、お客様のメリットを大前提に考えた上でお話をする。講師の思い込みで押し進める話は、一切しないのだ。学習指導を進めるにあたり第一目標を余裕で達成することが出来れば、目標をステップアップすれば良いではないかと提案させて頂いた。まずは公立高校合格を第一目標に考えたからこその提案である。一先ずは学習指導教科を数学、英語、国語の3教科に絞って、1ヵ月18時間の学習指導時間を設定させて頂いて学習指導を行っていくことに決まった。その後は、様子をみて学習指導時間を調整するということで話は落ち着いた。学習指導の対策としては、1、2年の復習を入れて3年生の中間期末テストに照準を合わせて全力を尽くす。ただ、実力テストについては、思うように点数が反映されるには、対策に含めない以上、なかなか難しいことを御理解頂いたうえでの対策であることをご了承頂いたうえだ。
いよいよH17年4月14日6時30分から毎月18時間で学習指導を始めることになった。現状は思った通り深刻!!偏差値30代前半ってのは見慣れているとは言っても、これを偏差値50以上にするのはなかなか難しいようだ。この瞬間、ひたすら頑張らないといけないのを再認識するのでした。かなり衝撃的な1日だった事は、今でも脳裏に焼き付いている。
全力で学習指導を始めてから、早くも5ヶ月が経とうとしていたH17年9月12日(月)の事だった。夏休み明けの実力考査では、偏差値も何とか30代から脱出して、40代ド真ん中辺りまで到達する事が出来ている。対策を練らずして、結果が出た事は、ご本人にとっても良い自信となっただろう。だいぶん成績も伸びてきたので、10月初旬からは、学習指導プロセスを見直すことにした。理科を学習指導教科に追加しなければいけない。一ヶ月の学習指導時間を4時間追加して合計22時間として設定し直した。この頃からご家庭の事情を薄々感じていた・・・もうこれ以上時間数を増やす事は出来ない。
12月初旬にもなると、国語と数学だけは、私立高校受験として考えていた東洋大付属には、何とか合格しそうな気配を感じることが出来た。それに伴い学校の定期考査の点数にも反映されている。本当に喜ばしいことだ。嬉しいことに実力考査にも偏差値50前後を行ったり来たりしている。若干のムラや点数のバラつきはあるのだが、良い傾向だ。幸い平均点を獲得する癖が付いてきているせいか、生徒本人からも頑張る意欲を感じ取ることが出来る。何とか間に合いそうだ。しかし、ここで一つ問題があ る!!英語だけが伸び悩んでいる。偏差値42前後をウロウロしている状態。確かに最初と比べれば成績は伸びているし、特に英語は苦手教科なので伸び悩んでしまうのも無理は無い。だからと言って、このままではいけない・・・文系講師もご家庭からの緊張感を察しているようだ、文系講師がイライラするのも無理はない。指導中の彼からは、家庭学習において勉強している気配とサボッている気配の両方を感じ取ることが出来る。早速、文系講師に確認を入れる。文系講師いわく「チェックをしないとスグに忘れてしまう!!課題をこなしてはいるのだが暗記課題については覚えきれていない!!英語長文は、基本的に読めない!!文法の理解ももう1つ進んでいない!!時間が足らない!!」文系講師の気持ちも分からないでもない。しかし、どんな事があっても合格しなければ何もならない。後もう少しで安全圏なのだから・・・。英語の成績が伸び悩んでいるという切羽詰った状況を回避するべく、講師交代に踏み切る。この時期に私は、理科、数学に加えて英語を担当することになった。学習指導時間の配分は、3教科で18時間、完全に切羽詰った状態と言っても過言ではない。数学は、現状良しとし ても理科は、中間期末考査対策で切羽詰った状態。1、2年生の復習すら手をつけられない状態。それに加えて偏差値42前後の英語に対応しなければならないのだから無理はない。受験塾家庭教師名物「英語長文和訳英作」「ピンポイント文法理解」を中心に残された時間60日程度で1、2、3年生の英語を全てやり遂げることにした。正しく奥の手だ!!残り60日間は、英語漬けの厳しさを味わってもらうことにする。「これで、東洋大姫路への合格は、何とかなるだろう」と独り言のように頭の中でつぶやくのだった。私立受験まで残り60日程度しかない日の深夜授業での出来事だった。
いよいよ3年生の11月下旬ともなれば、中間考査も終了し、試験も返された後に希望者のみ実施された生徒本人と担任の先生との二者面談の折に話し合われた内容です。この内容は、実際に話し合われた内容で、生徒本人から聞いたものです。
本人「先生!!東洋大付属を受けたいんやけど、どうやろう?」
担任「この調子なら何とか受かるかもしれへんよ」
本人「公立やったら、飾磨工業は、どうやろう?」
担任「全日制ならば厳しいかもしれへんけど多部制なら2部でいけるやろう」
本人「やったぁ~!!」
生徒本人が二者面談の内容を話してくれたのだが、正直、私は自分の耳を疑った。
「受かるかもしれへんよ」
こんな緊迫した時期に発言すべき内容ではないんじゃないのか!?
しばらく様子を見てみる事にした・・・
12月初旬には、今年最後の定期考査とされる期末考査終了した。二者面談も経たので安心しながらも生徒本人と母親は、三者面談を通して担任と受験する私立の確認を行ったようだ。二者面談時に担任と本人の間で、私立入試を東洋大付属と予め話していたにも関わらず、三者面談時では、急転したのだ。生徒本人からすると正に急転直下を味わう一大事件となった。
担任「私立入試は市川高校併願で、公立は神崎高校、夢前高 校を検討して下さい。」
、、、さらに間髪入れず、、、
担任「私立東洋大付属を考えているなら、専願で受験して下さい。」
、、、沈黙が走る、、、
T君「僕は、絶対に東洋大付属を併願で受験する。」
、、、様々な歯車が狂い、重苦しい空気が流れる、、、
担任「合格は、厳しいです。」
T君「・・・」
生徒「公立は飾磨工業の2部を受験するか、全日制を受験するか、のいずれかで考えてる」
担任「・・・」
担任「2部は厳しいです。3部なら何とか通るといったところです。」
、、、さらにメジャー級の緊迫した空気が張り詰め る、、、
T君「2部制か、全日制しか考えていない(怒)先生!!二者面談の時に話していたことと違う。」
、、、間髪入れずに、、、
担任「そんな事、言っていない。」
T君 「・・・」
、、、さらに母親が飾磨工業の多部制について、質問すると、、、
担任「定時制みたいなものですよ。」
何とも苦い三者面談になったようだ。生徒にとって、これ以上の修羅場はなかっただろう。担任の気持ちも理解出来なくはない。恐らく生徒を勇気付けて、やる気にさせようとしてくれているのだろう。そういう意味では、良いのだが、何か勘違いをしているような気がする。とにかく私立専願で確実に高校合格を推し進めてくるようだ。無理も無いし、確かに彼の成績では、入試を受けたとしても限りなく厳しい状態!!誰が見ても・・・な気持ちになるのも分かる。担任の先生には、何度も繰り返される面談を通して生徒本人の諦めたくない気持ちを察してあげてもらいたかった。さらに、飾磨工業多部制について質問されて担任の先生は「定時制みたいなものですよ」と、本当に 答えたらしい。誤解を招く・・・危険過ぎる。もう少し生徒の為に高校の事を調べるべきだと思った。もちろん、彼については、全面的に私が責任をもって進路指導を徹底的 に実施しているので問題はない。志望校には詳細を伺いに高校まで足を運んで、詳細を把握したうえで生徒にその情報を提供している・・・私としては当たり前 の話だ。それを経て志望校への関心が高まり学習意欲が上がると言うモノだと思っている。彼の自己学習から判断して、言われた課題を全てやり遂げると言う訳 ではないが、全くやってこないと言う訳でもない。改めて彼の気合を信用してみようと思える生徒だと感じている。ともかく三者面談の時点で、「東洋に合格す る見込みがある」と思う人間が一人減ったように思う。しかし、私は、諦めない、むしろ「諦める!?」等とくだらないことは考えていない。ただ1つ「合格す る」ことしか考えていない!!むしろ合格しなければならない。自分に負けてはいけない。途中下車は出来ない。ただひたすら、突き進むだけ。彼は私を信じて いる。だから、私は彼を信じている。
和田「東洋を併願で合格して、飾磨工業の2部をストレートで合格すればカッコイイやん!!今は厳しいけど、必ず君は 出来るはずだから、一緒に頑張ってみよう!!私も頑張るから絶対、合格しよう☆」
本人「わかった。もう前しか向かへん(泣)」
その瞬間、互いに決意は固まった。もう後には引けない。突き進むだけだ。
H18年1月中旬・・・彼の心にある「まず私立東洋大学付属へ合格したい」その希望を叶える為に限られた時間で必死になって英語と数学の指導を実施した。そんな中、実力テストの点数が母親と本人から報告されたのだが・・・。英語の点数が、なんと8点。凍りついた!!笑えない・・・むしろ 私の誕生日みたいだ!!正直、かなり焦った。同時に、入試前の何とも言えない程の緊迫感を感じる「これで本当に大丈夫なのか!?」そんな空気が流れる束の間は、何時間も過ぎたような感じがする。彼の母親から「大丈夫ですか?」と質問がある。「大丈夫です」と言う答えよりも、「安心してください」と伝えた方が適切だったはずだ。私は彼を信じ、自分を信じて答えた。「大丈夫です。結果は合格発表の時まで分かりません。彼を信じましょう!?」さすがに母親は、涙目で愕然としている様子で、言葉には出さないが10年ぐらい家庭教師をしていれば、そんな雰囲気は手に取るように分かる。決定的な資料のような根拠となるものは無いが、何か感じるものがあった。この英語の8点は、実は、良かったかもしれない!?逆に考えれば学校のテスト勉強をしていないってことは私が出し ている課題や文系講師が出している課題をやってるってことじゃないのか!?何もしていないことは有り得ない。彼の学習風景を見ていれば一目瞭然である。私を含めて私の仕事を手伝って頂いている講師陣は、普通に勉強を教えているだけの家庭教師ではない。学習指導に掛かる前には考えられない程の細かな作業を必ずしている。熟練した家庭教師としての第六感を持ち得る講師ばかり、つまり、確実性の高い根拠はないがそれに通じる感覚がある。この瞬間、「合格する見込みがある」と実感し た。そう思っている人間が彼と私だけになったような気がする瞬間でもあったが・・・東洋大付属の入試2週間前にして英語8点を目の当たりにすると確かに落ちそうな雰囲気がプンップンッするのも無理はない。ご両親の気持ちは、既に「合格して欲しい」と言う気持ちの上を越えているように感じた。
H18年2月7日に入試直前に過去問対策の最終審査でもある入試直前確認テストと言うものを実施する事にしている。中学受験生でも高校受検生でも大学受験生でも、どんな状態でも必ず実施している。合格点を獲得した受講生は、当日の試験でも必ず良い結果を残せるという実感を果たせる。もちろんの事だが、彼のその時の点数は、英語、数学、国語とも50点以上獲得していた。つまり、暫定的な合格点としている3教科で150点以上を確保していたのだ。しかしながら、この点数を真っ正直に伝えると本人の為には ならない。「やる気」になる魔法を本人と親御様に掛けておくことにする。ただ、効き目は、かなりの効果があり、その瞬間、ご本人と親御様は、ともにタジタジとなった。つまり、自分を見失ってしまいつつあったのだ。ちょっと効き過ぎたようなので、私も少し反省して、親御様にだけは、真実を告げて事無きを得た。しかし、本人は顔が青ざめた状態で、放置。「ちょっと効き過ぎたかな・・・(汗)」という思いは、あったが、彼に対して、そのままにしておいた。その瞬間は、彼の心の中で何かしらのスイッチが変わった瞬間でもあった。勉強嫌いな 人間が勉強嫌いでも本気で勉強をやろうとする瞬間がある。恐らく、彼はその瞬間を理解出来たはずだ。これからも決して忘れないで欲しい。大変、大切な感覚なのだ。
私立入試当日は、私は、ひっちゃかめっちゃかになっていた。何とか午前中の雑務を終えて落ち着いた時、彼に直接、連絡をとってみた。
和田「今日、テストどうだった?」
T君「わからん!!」・・・
和田「わからん???」
私は、合格の見込みあると確信した。受験生にしてみれ ば、出来ているという自信があれば、それを悟られないようにする為、無意識のウチにその気持ちを隠そうとする。数あるそのような答えの1つが「わからない!!」と言う答えだ。受験生の心理は、本当に分かりやすい!!本当に出来ていなかったら電話すらとらない。仮にとったとしても、返事すらしなくなる。相場は決まっている。幸いにも私の生徒でそんな事になった者は今だにいない。
私立高校入試合格発表でもあるH18年2月14日!!普段は遅い起床だったが、本日だけは早朝業務が残っていたので朝からバタバタしていた。すると一本の電話が鳴った。
和田「お電話アリガトウございます。受験塾家庭教師の和田成博が承ります。」
H君「先生!?」
和田「おぉ~~~!!オハヨウさん!!どうしたの?」
H君「とりあえず合格したから電話してん」
和田「合格?明日が発表やないのん」
H君「いきなり今日来た」
私は完全にいつもの時差ボケ状態のようだ。
和田「とりあえずオメデトウ!!」
H君「アリガトウ!いえぇ~~い」
そんな感じ、はしゃいでいたのは確かだ。しかしこれは、肝心要のT君からの連絡ではなかった。もちろん、朝っぱらから何十回もT君へ連絡をしたのは言うまでもない。それでも電話をとらない、とったと 思ったらスグに切れてしまう「何でや?」まさかと思ったが・・・体の底で何かが震える。さすがに私も苦しい。頼むからとってくれ・・・仕方が無いので早朝業務を終了させて夕方からの外回りの仕事に出掛けることにする。営業先に到着するやいないや、文系講師のN先生から連絡があった。
文系講師「合格しました(泣)」
それが第一声だった。その声の表情からT君である事は、瞬時に分かった。私の心の底から何か込み上げてくるものがった。いつもの喜びとは違う何かが込み上げてくる。彼と受験を乗り越えてこられた事は、家庭教師として本当に嬉しかった。とにかくこの喜びを誰かに伝えたかった。
和田 「大変やった俺の生徒が合格してん。」
I君 「え!?何なん!???まぁ〜よぉ〜分からんけど。オメデトウ(笑)」
和田 「ありがとう(泣)」
I君 「なんやねん(汗)」
彼とは何の関係もないのだが、目の前に座っている生徒に伝えてしまった。(※その生徒もT君と同じような修羅場を経験するとは、私も含めてその子自身も知る由も無かった。)と、まぁ〜それぐらい嬉しかった。文系講師いわく彼は、「オレは本当にアホやったんや!?ほんまに目が覚めたわ」と言っていたらしい。中学3年生が言う言葉ではない。とにかく、みんなが喜んだ、本当に喜んだ!!とにかく喜んだ!!そしてみんなが泣いた・・・。私立入試合格を達成した後は、公立高校合格を目指すだけになった。彼はもちろんの事だが、飾磨工業高校多部制を志願することに決めていた。「動機」「自己PR」 をキッチリ作成するにあたっては、私が志望校についてを調べまくって本人に報告するのが当たり前なのだ。全てが揃えば、時間を掛けていろんな話をしてから出願書類の作り方を説明する。それも徹底的に指導する。ここで勘違いしてはいけないのは、あくまでも出願書類を作成するのは、本人であるということだ。私は、本人が後悔しないような材料を集めてお知らせする役割を果たしている。だから、それらを判断するのは全て彼自信、押し付けるようなことは一切しない。もちろん、彼自身が彼の力で合格すべきだからだ。ここでの頑張りは彼にとって、一生の宝物になるだろう!!
私立合格の嬉しさも落ち着き始めた頃、学校では中学校最後のテストがあったらしい。最終的には、数学の偏差値が52に膨れていた。私立入試合格のうえに偏差値50を達成するのは気持ち良い!!やっとのことで偏差値50を達成した喜びは、本当に至福の一時だ。彼の中でのハードルを一歩越えたように思える。英語は、12 月現在で42前後を最終的には49までもってこれた。後もう少し!!しかし、これはT君の癖のようなものなので良しとする。文系講師からの報告では、国語の偏差値35を偏差値52までもってこれた。ここで理解しなければいけない大切なことは、「目標を達成出来たこと」確かに英語だけが偏差値50を超える事は出来なかったのだが、大満足だ。彼にとっては、中学時代の良い思い出となって本当に良かった!!10ヵ月程で彼の人生に大きな影響を与える事が出来たのは、もちろん「ご両親の支え」があったからだ。家庭の事情を抱えていた、苦しい状態があったにも関わらず指導料金の支払いが、1日たりとも遅れたことは無い。子供の受験に対して本気な証拠だからだ。子供を思う親の気持ちをつくづく感じさせてくれた。ここが一番大きい。さらに、ご両親が「受験塾家庭教師の考え」を全面的に信じてくれたからこそ成し得た結果でもある!!私は、T君のご両親には心から御礼を申し上げたい。良い経験をさせて頂いて本当に感謝している。私は、彼に言いたい「大人になっても、受験の時のご両親の支えを忘れてはいけない!!君も親になる時がきっとくるから、その時、自分の子供にも良い影響を与えてもらいたい。」
平成18年3月3日から3月5日までの間、風邪か何かは分からないが、彼は、発熱によりダウンしてしまった。勉強のさせ過ぎなのか!?それとも勉強のやり過ぎなのか!?さすがに宿題と言う名の課題を連日連夜やり続けたせいか、知恵熱でパワーダウンなのか、とにかく弱い中学3年生だ。試験前に何をやっているんだか・・・(笑)
平成18年3月15日の公立高校入学試験当日は、さすがに完全燃焼してきたようだ。作文は、中途半端にしか書けなかったようだが、面接は抜群に出来たらしい。少しは安心した!!そんな、アッサリした会話で、入試対策の幕は、一先ず下りた。後は、合格発表を待つばかり!!しかし、終ったからと言って、流暢にしている訳にはいかない。彼にはまだやらなければならないことがある。
彼もいよいよ卒業式を迎えるわけなのだが、この忙しい日々が続く中、朝7時起床で体が崩れそうだ!!連日連チャンの合格発表、同時にお祝いの連絡を1件1件入れさせて頂いた。そんな状況にも関わらず朝8時頃からT君の校門の前で待っていた。彼は、学校にはまだ到着していない。もちろん彼の人生を変えた張本人だからこそ、それ以外の何者でもない。以前に親御様の支えを感じていたからだ。間違いなく親御様は子供を大事にしているものだ。もちろん、見えないところで、本当に子供のために一生懸命になっている。この度の受験では、それをヒシヒシと感じることが出来た。親として親の頑張りは子供には、見せていない。少なくとも子供が気を遣わない程度に、ただ一生懸命やって欲しい程度には見せていた。子供も親に勉強をしている姿は見せていない、よく似たご家族である。もしかするとそれが「家族」というものかもしれない。それはお付き合いを通じて感じる事が出来た。尋常じゃない感性を持っているからこそ感じ取れる次元の話なはずだ。私は単細胞で生徒が大好きで仕方ない。だから喜怒哀楽をみせる。「合格するものは合格する」そんな根拠の無い感性!!これが、オモシロくて仕方ない。自分の思った通りになってしまう。そんな気がして仕方が無いのだ。今日は、家庭教師の先生としてではなく受験塾家庭教師の代表として中学校の卒業式に訪れた。しかし、残念なことは校内の中に立ち入り出来ないのだ、仕方ないことではある。セキュリティーの面や子供を預かる教師の立場を考えれば当たり前のことであるのは違いない。学校の先生方から「学校外で写真撮影をする」という許可は頂けた。別件担当のスタッフにカメラを練習させてからバンバン撮影開始、本当に良い顔をしていた。今までにはこんなに新鮮に卒業式を見れたのは始めてだ。卒業式も終わり、学校を後にした。
卒業式後の指導合間の休憩時間に今日のことをいろいろ話合った。必要になるかもしれない教科を指導していた時のことである。
T君「先生!?」
和田「なんじゃい!?」(いつもの調子)
T君「何で、今日 来てくれたん?」
和田「中学の卒業式は一生で1回の大事な日やからや。良い思い出作りたかってん。それにその瞬間を大事にしたかってん。君は一生懸命 頑張ったんや。頑張る瞬間を見極めて頑張ったんやから、一生に1回の君の中学卒業の瞬間をどうしても、撮りたかったねん。良い思い出になるで!!」
という具合に普通に答えた。別に格好つけるわけでもなく、またまた分けのわからん事を言ってしまった自分がいる。いつもなら突っ込むはずの言葉のキャッチボールが今日は少し違う。ふと横目で見ながら彼の顔を何となくみると、涙を数滴こぼしていた・・・。私は心の中で「何でや?当たり前やんけ」そう言いながら、何も言わずに、淡々と数学の指導を続けたのだ。「合格発表は必ず見に行くからな!?」そう言い残して卒業式夜の指導を終了した。
東洋大付属姫路高等学校を合格して飾磨工業高等学校多部制を受けたのは、中学校では、彼だけだったようだ。周りの友人や学校の先生方からは、「東洋合格したのに、どうして多部制に進むの?」と、よく質問を受けているらしい。私にとってしてみれば、その質問は、大変、失礼な話だ。「多部制なら東洋に合格して多部制に行くの方が格好良いよ。」と分かりやすく告げている!!同じ進むなら両方とも進みたいほうに進むべきだ。簡単に言うと公立の第一志望と私立の第一志望に進むべきだと考えている。そうでないと一方に対して失礼だ。私は、滑り止めとして受験するという考えが大嫌いなのだ。確かに客観的にみて私立を受験する時点で滑り止めを確保しているように見える。しかし、そう考えるのは普通の家庭教師であり、 私は飾磨工業が駄目でも東洋で頑張れる。東洋が駄目なら飾磨工業で頑張れると言う道を勧めている。事は考えようである。考え方によって意識が前向きに変化するからだ。 底辺を見てきた私にとって、それは大変、大事なことで、人生を幸せに送るキッカケとなる。
合格当日前夜になるとさすがに直前ともなり、緊張するようだ。もちろん私も緊張しているのは言うまでもない。ご両親はかなり落ち着きを取り戻してきている。この空気は、私立を合格しているからこそだ。さすがに私立の合格は大きかった。
当日は、朝8時頃に起床し、ちなみに睡眠時間は3時間・・・本当にぶっ倒れそうだ。しかし、彼の合格だけは見届けたい。完全に合格するものだと確信しているのは、 私だけだろうか!?早朝、文系講師をつれて(半強制的に・・・)合格発表会場に出向いた。何とか時間までに到着出来たのでT君を探すが、 見当たらない。到着後、数分程度が経っただろうか、正面校舎に張り出された。その瞬間、思った程の盛り上がりは見せなかったものの、心が躍っていた。一応、業者なので校内に立ち入ることは出来ない。だから遠目で、受講生の合格発表を確認する。
和田「おっ!?合格してるやん(笑)来るべき結果が宿ったという感じやな!!」
何とか確認出来たので、一安心だ。後は本人を探すが、見当たらない。しばらくして本人が学校から出てきた。
T君「先生、来てたん?」
和田「当たり前やん、心配でジッとしてられへんがな」
いつもの会話で本人と合流、早速、彼の画像を撮りたくなったので、飾磨工業高校の校門前にいらっしゃる学校の先生方に事情を説明して校内への立ち入る許可をお願いした。さすがは、合格発表の当日、満面の笑みで快く了解してくれた。飾磨工業高校の先生方は、本当に丁寧な方々が多いようだ。お問い合わせの為、電話をしたことがあったのだが、その時の電話の対応も本当に気持ちよかった。快く了解してくれたことなので、早速、彼と文系講師と一緒に校内で思い出を作りにし行った。彼を主人公に文系講師と一 緒に画像を収めてからその場を後にすることにした。昼から指導が入っていたにも関わらず合格を果たしたので友達と遊びに行く約束を取り付けたようだ。仕方ないといえば仕方ない。何も考えずに指導日を変更することにした。また、日を改めて指導へ伺うことを告げた。彼の顔からは、何かから放たれたような晴れ晴れとした気持ちの良い顔をしていたのを今でも覚えている。彼の人生の中で後何回、こういう顔を浮かべるのだろうか!?彼の受験に付き合って本当に良かった。