サバイバル1等賞「追試」

追試

2学期の期末考査も終えて年を越す頃には、赤点も残すところ後3個となっていたような、いなかったような。そんな状況で3学期に突入し、今となっては1月2月と学年末試験の直前。2学期に起きた理科総合のゴタゴタも、教師があれから直ぐにシラバスを持ち出しては説明を行って完結。けれども懲りる事無く授業ではヤリたい放題の様子。人間の卑屈な部分を目の当たりにしている気分だ。3学期に入り、物理や生物に突入するかと思いきや、特にそんな様子もなく、最後の最後に物理をチョチョイっとプリント授業で事無きを得る始末。もはや大人のする事では無い。むしろ教師のする事ではないような気もするが、そこはやはり県の教職員なのだろう。自分の事しか考えていないことは手に取るように理解出来た。話に聞くところによると明石以西、三田以北には、なかなか理系の教師が集まらない、という切実な状況が存在しているらしい。是非、社会問題としてマスコミに取り上げて欲しいものだ。

そうは言っても、こちらもバカではない。元よりそうなることは想定済みだ。対応対策を練るのは至極当然のこと、として理科総合を無事に脱却し、とりあえずセーフッ!!、英語についても、コテ入れ?テコ入れ?が整ったので万事休すの事態からは逃れることが出来た。そんなワケで、こちらもセーフ。ただ1つ厄介な教科が残った。前々から「?」とは思っていたのだが、何だか理科総合の陰に隠れて、数学も不思議な状況にあるようだ。御子様や親御様から集めた情報もあったので、数学に対しても身構えることにはしていたのだが、さすがにココまでヒドイとは思わなかった。まだ理科総合の方がマシだ。

学年末考査を終えて最後の最後に奇跡的にも、数学1科目だけが赤点、という事態で落ち着いた。ただ一方では悔しくて悔しくてたまらなかった。なぜなら私の手の及ぶところでは無いところで、イチャモンをつけられていたからだ。答えが正解しているにも関わらず不正解にされてしまう状況。ナゼに?!、数学教師の解く方法で解いていないから、ということが理由のようだ。こんなコトがあって良いものなのか?!、答えだけしか書いてなくて不正解になるならば未だしも・・・、現時点ではそんなワケがない。確かに数学教師と異なる解き方をしているが、教科書の解き方に少しアレンジを加えて解いている。基本に忠実、ましてや解き方も省くことなく、答えも正解している。それでも数学教師的には正解とはしないようだ。その教師レベルに合わせてやんないと正解にはならんのか?!、赤点を背負っている者にとって荷が重過ぎる。教科書に従って理解した方法で答案を作成したものでも不正解にされてしまうのだからワケが分からない。数学教師は神様ではない。ただの県の職員さんだ。僕の言うことを聞いてくれないならバツ印をつけるでちゅ!!、と意気がられても困る。公務員は全体の奉仕者であることを見に染みて理解してもらいたい。

とにかく何とも不思議でかなわない。主観的見解だが、数学という教科はとても自由な学問だと思っている。解けないなら解けないなりの楽しさやオモシロさが備わっている。ヤリ方一辺倒では、とってもツマらない。解く為にあらゆる手段を使って、あらゆる要素を適用して、これでもかぁ〜〜〜ッ、という具合に頭と身体で打つかる。そんなところが、私にとってはたまらなく楽しい。中途半端過ぎる教師によく見られるのは、考え方の押し付け。今正にそれが垣間見られる。勿論、私も自分の考え方を、よく押し付けたりする。けれどもちゃんと断りを入れて合理性を図る。「私が言うてるんやから私の方法でやりなさぁ〜〜〜い!!」みたいなコトは絶対に言わない。時には私よりもユニークな考え方で物事を考えて問題を解こうとする学生も存在する。当然だが私はその解き方に賛同し共感し、その考え方を子供達から教えてもらったりする。問題と闘っている最中、互いにとっても愉快でたまらないのだ。一辺倒な解き方、マニュアル通りな解き方、ではせっかく数学を勉強してるのに全くオモシロくない。戦略的かつ楽観的に楽しみながら解いてもらいたい。一先ずのところ、マニュアル的な人間はこうやって出来るのか、と反面教師的な感じでポジショニングを保ちつつ、私は彼に最後の切り札を適用した。タダでは絶対に転ばない。勝負へのコダワリ、とはそういうものだ。

その方法とはその教師の答案をテンプレート化させるというもの。1から10まで板書ノートを私が理解し、そして答案丸ごとテンプレート化させる。テンプレートに入れる数字は問題文から抽出する。不具合があるところは公式をつくって補えるようなスタンバイを整える。このように文章で書くと、何だか複雑そうですが、実際に授業でヤルとなると案外、ゲーム感覚でオモシロかったりする。失敗を恐れていては成功するワケがありません。成功する為に知恵を絞って行動に徹しないとあきません。幸いにして結果的には、追試96点という高得点の確保に至り、これでようやく全ての科目で赤点から脱却することが出来ました。同時に退学・留年レベルからも脱却することが出来たわけです。当初から抱いていた目標を達成しました。ようやく入学当初の振り出しに戻れました。赤点0個、って飛びっきり爽快。苦しかったけど実現出来た時の喜びをご家族皆様と共に感じるコトが出来ました。アッと言う間の8ヶ月でした。

最後にちょっとしたオモシロい会話がありました。

親御様『そうか!!、成績が伸びていない、点数が上がっていないから、と言って息子自身がガンバっていなかった訳じゃないんですね!?』

和田「もちろん、です。彼は頑張っていました。8個の赤点を5個、3個と減らしていけるのは、親御様の愛情を支えに彼自身がガンバってきたからこそ、だと思われます。赤点をとってしまう、という事は確かに褒められた事ではありませんが、認められるべき部分は認めてあげても良いのではないか、と思います。この度の一件で成績が遺憾な状況であったことは、彼だけの問題ではありませんでした。幾分なりとも学校における一部の先生方にも改善すべき問題が少なからず存在しておりました。適応力があり、出来ることを怠るのは単なる怠慢です。恐らく、彼が一番それをよく理解しているはずです。なぜならば学校の教師に最も近い存在であるからです。ですから、これからも私は彼の紆余曲折を見守り、支え続けてやるつもりです。卒業するまで油断は出来ません。学校の教師から目を付けられるのは良くも悪くも良いコトですから・・・(笑)」