早速、東さんに連絡を入れて家を建てる話を進行させた。家を建てる、という人生でも大きな買い物。サッパリ分からないことばかりだった。住宅ローン で借りられる金額は限られているし、親父から注いでもらった体力も全て頭金となった。無論、余剰力なんて皆無。ローンの完済やら税金やら保険料やらで消え てしまってドコも彼処も空っぽ。窮地に追い込まれていた。まぁ〜計画性なんてマルで無かったので後は残された時間とチャンスを活かして自分自身が徹底的に 頑張るしかなかった。
よし!!土地を買おうぅ〜〜〜ッ、
当時の認識は笑ってしまう程に勘違いばかり。「家を買う」という言葉の中に、建物を買う、という意味合いと、土地を買う、という意味合いが含まれる ことすら知らず、実際に購入するポジションに立って初めて理解したのだ。建物と土地は別々の考えを持たなければいけなかった。本来ならば前もって知った上 で行動に徹する必要があったが、状況も状況だったので止むを得ない。今思うと大変恥ずかしい話だ。家を買うコトばかり考えてお金を支払うコトなんて一切考 えていなかったようだ。いつもながらの行き当たりばったりな性分、自分でもこの習慣を変えたくて仕方がなかった。そう考えて調べを進めていく内に兵庫県が 土地の販売を行っているコトを知り、早々に手続きを済ませるべく神戸事務所にある窓口へ電撃訪問。その段階で衝撃的なコトを知った。実際のところ土地購入 には総額の1割程度が現金で必要であるというものだ。うそん!?、とばかりにたまたま握り締めていた事業資金と共に静かな相談。多少なりの自転車操業を覚 悟して、経済的に厳しい、という次元を遥かに上回りながらも吐き出す事を決断した。背筋の凍る思いだったが仕方が無い。大きなリスクを回避する為に小さな リスクを抱えるのも時と場合に応じて大切だ。 新たな問題が発生していたが土地を買えなくなるという大きな問題を解決することが出来た。
よし!!次は建物だぁ〜〜〜ッ、
土地の話も解決し、無事に建物の打ち合わせを進めることになった。とは言っても決めるコトはそんなに無い。予算なんて皆無だし借りられる余剰力も知 れていた。加えて言うならば頭金すらも微々たるものだ。抑えるべく部分を抑えるべく一番、資金を節約したカタチで建物を構想する必要があった。カタチを正 方形にする、窓やドアの数を少なくする、今しか出来ないコトは今する、という3つのポイントを主軸に考えを絞った。また外構工事については予算の問題が幅 を利かせていたので無視。担当の東さんからも、本当に良いんですか!?、という熱い念を押されたが奇しくも止むを得なかった。だいたい決まる事も決まって きて、いよいよが着工も開始。日取り通りに様々な工程が進んでいった。地鎮祭に始まり土地調査を経て基礎工事へと進んでいく。一番最初にベタ基礎が施行さ れて実際に建物が建つ情景が目の当たりにして、おおぉぉぉ〜〜〜〜ッ、と感動。下見に行く度にワクワク度数がマックスを更新していった。自分の基地が日々 築かれる感動があった。いろんな職人さん達の手が細部に至るまでタイミング良くスケジュール通りに進んでいく。当たり前のように丁寧に順序良く進み、期待 と喜びで浮き足立っていた。気が付けば、いよいよ棟上げの時がやってきていた。さすがにココまで来ると外形がほぼ完成しているので、将来的なイメージを掴 み易くなっていた。夏が過ぎ秋が来て、冬に差し掛かろうとしていた12月初旬。着工からわずか半年程度で建物自体は完成。家ってこんなに早く建つん だぁ〜、と出来上がってみて本当に驚いた。人間って本当に凄い。そして来る2007年1月下旬、待ちに待った引き渡しの時がとうとうやってきた。
ああぁぁぁ〜〜〜〜やっと出来たぁ〜〜〜〜ッ!!!、
思えば大変なコトばかり。本当にいろんなコトがあった。建物の確認、周囲の確認、スイッチ類の確認を担当の東さんと行う。1階から2階までを1つ1 つ丁寧に、そしてユックリと。全ての確認作業も一様に完了させて、最後で最後の引き渡し作業がやってきた。安堵感が満ちる空気の中、引き渡し書類への捺印 がとうとう完了。ようやくマイナスからの脱却を果たすことが出来た瞬間。自分にしか見えないバックグラウンドが脳裏を翔る。0というポジションに立つ事が こんなに大変だ、とは家庭教師を始めた当初、想像すらしていなかった。2002年1月に無茶苦茶な状態で結婚して、2007年1月に小さな小さな建物だけ ど、自分の基地を創るコトが出来たのだ。これで、ようやく大手を振って仕事をするコトが出来るし、受験塾家庭教師の良さを皆様に知って頂ける。絶対に諦め てはいけない、という気持ちを全身全霊に磨き続けた結果だったのだろう。とは言っても、この5年間は単なる序章にしか過ぎないはず。本当の闘いは、まだま だ始まったばかりなのだから油断は禁物。
よし!!ヤルぞッッッ、
<シーズン1・おわり>