トツゲキ人生「無知」

新しい事にどんどん挑戦すべく怒濤のような勢いで次なる動きとして、オリジナルTシャツ、を創ることにした。専ら理由は単純。夏は暑いからだ。クールビズの一貫、と言えば話もスムーズに理解しやすいだろう。しかしそれだけでは無い。この試みにも節約思考が行き渡っているのだ。単に暑いから・・・、という理由だけで、創る、私であるはずがない。6月から7月に掛けてジメジメとした季節ともなれば、洗濯物も乾き難い状態となるのは周知の事実。白シャツであるからこその乾き難さが存在する。そればかりでなく場合によってはクリーニング代も余分に掛かって仕方が無い。その点、Tシャツともなると、乾き易いし、常備し易いし、嵩も高くない。ましてやクリーニング代なんて一切、掛からない。そればかりだけでなく仮にお客様のところへお伺いさせて頂いて夏の暑い日でもクーラー無しで過ごすことが出来る。網戸にして窓を開ければ十分、凌ぐ事が出来る状況なのだ。正に一石二鳥三鳥!!、モノは考えようである。

制作の過程でまず一番最初に決めたのがカラーだ。男女問わず手当たり次第みんなに話を聞きまくった結果、ブラック、にすることにした。色が決まれば次は素材選びだ。そこで、パッ!、と閃いたのがUNIQLOのTシャツ。安いし一般的だしドコにでもある。それにUNIQLOと聞いて悪い気がしない。むしろ良い感じがするし 普段着慣れているから安心だ。そこで実際に店頭へ赴き、1つ1つ物色した。中でも目に付いたのがコットン100%。万一、ブレイクしちゃっても気分的には大きな凹みが生じない。また創れば良いだけなのだ。カタチ有るものはいつかし朽ちる。未来永劫、持ち堪えることの出来るカタチあるものは有り得ない。どんな時でも手に入る素材にする必要があったのだ。一先ずMサイズとLサイズに絞り数十着注文。それから直ぐにLLサイズも数十枚程度、追加で注文することにした。サイズの種類が多かったこともあり商品が揃うのに2、3日程度の時間が必要だったので、その間にデザインを考えることにした。何が良いだろう?!・・・とにかく考えた。いろんなTシャツを見まくって、シンプル・カッコイイ、をコンセプトに目指すことにした。パッと見て、欲しい!、と思ってもらえるようにしたかった。本当に考えた。とことん考えた。いつしかTシャツもUNIQLOから納入された。それでもデザインだけがなかなか思い付かなかった。完全に行き詰まっていた。Tシャツを考えるだけで、こんなにも真剣になるとは思ってもみなかっただけに日々、悪戦苦闘していた。

そしてそれから数日程が経ってから、自分の目の前に衝撃が走った。その時、私は野暮用で大阪心斎橋をテクテク歩いていた。Apple心斎橋の店舗前を横切る時、フッと何気無しに店内を見て、その瞬間が現れた。Appleスタッフみんなが青色のTシャツを着ているではないか?!、電撃が走った。一目散に店舗イン。AppleのTシャツを凝視そして記憶。受験塾家庭教師ロゴをTシャツの胸の上あたりにプリントする事を決めた。無論それだけでは単なるパクリだったので、もっと視野を広げて考えた。話題性を投入する為にQRコードをバックにも入れ、袖には野球選手のユニフォームっぽく「受験塾家庭教師」の名称と「www.jyukenjyuku.jp」のurlを入れることにした。アイデアを頭に印象付け即行オフィスへ戻り、Photoshopでアナログ・チックに素人設計。何が何でもの思いがパソコンに通じてファイルに落とし込むところまで出来た。これで全ての材料、全ての題材は整った。後はこれらのイメージをTシャツにプリントするだけとなったのだ。

ここに来て初めて気付いたことがあった。プリントしてくれる業者さんをチョイスしていなかったのだ。相変わらず鈍臭い人間である。何か1本抜けている。これではいけない!、早く創りたい!、とばかりに光の早さでネット上を隈無く検索。幾つか目星を付けた会社の中から、出来る限り早く納品してくれそうなところを絞り込み、そのうえでコストバランスが安定していたところに発注することにした。ここぞ!、と決めてメールで直アポ。先方の指示通りファイルを提出し、直ぐにTシャツも提出。もちろん料金も即日完納である。それから10日程が経って、いよいよ納品。ただしかし、そこに待ち受けていたのは、憤り、というオマケがついていた。納品されたモノを一見して絶句。実に十数枚程度のプリントがズレているのだ。プリントをお願いした業者さんの仕事がとにかく適当極まり無い、と感じながらも自分を恥じた。冷静になって考えるとこのような何もかもの失態は、滞り無く準備を整えなかった自分の責任なのだ。仮にクレームの連絡を入れたとしても、失敗すれば謝る、というプロセスを先方が歩み、それを私が容認するだけにしか過ぎない。生産性なんて全く皆無であるのは理解出来る。クレームを掛けても無駄。失敗したTシャツ群は元には戻らない。もう後の祭りなのだ。

無事にプリントされたTシャツに初めて袖を通し、拳をギュッと握り締めた。ただただ項垂れながら失敗作を1つ1つ確認し全て廃棄。もちろんリサイクルである。車の洗車用の拭き取りタオルと化していったのだ。後味が悪い、と言えばそうだが、社会の厳しさ、という味を感じることが出来た絶好の機会であった。そうスンナリ自分の思い通りになんていくはずがない。そもそも自分の思い通りにいく事こそが甘い考えである。何かにつけて障害は付き物だ。障害があろうと無かろうと正面切って突き進まなくてどうする。向こう岸を見るには背伸びをする努力をしなくちゃいけない。多少擦りむいたとしても、擦りむく価値は十分にあるのだ。歩みを止めてはいけない。