トツゲキ人生「年健」

一難去ってまた一難。年金機構からある一通の封書が届いた。数少ない社員の為、社会保険をキチンと完備させていたから止むを得ない。生意気にも毎年恒例的な感じを出しつつ内容を確認。すると、どうだろう?!、赤い○検マークが目に飛び込んできた。一瞬、自分の目を疑った。また調査だ。キチンと届けているから大丈夫だ、とは思っていても昨年の税務調査が走馬灯のように脳裏を駆け巡り、挙げ句の果てに運動会を始めてしまう。調査、と聞くだけで悲壮感しかない。居ても立ってもいられず何かの間違いである事を期待し確認すべく、年金機構の適用調査課へ即刻連絡。就業形態的にタイムカードってモノが無かったり、出勤簿と言われるような書類群も無い。ただ似通った書類群を揃えているので問題は無いはずだ。1つ1つ、書類群の有無を電話で確認の最中、終始オドオドしていたに違いない。幸いにして手元に存在する書類群だけで十分、調査は可能である事を確認した。もう覚悟を決めるしかなかった。今更、何をしても無駄。やるしかないのだ。

いよいよ調査当日。会場は三田駅前のキッピーモール。会場に着いて唖然としてホッとした。会場内ばかりでなく会場の外にまで、調査を受ける方々でごった返していた。今日の内に算定基礎届(厚生年金・健康保険)と労働保険年度更新(雇用保険・労災保険)に付きっきりになる予定だったが、そうも思い通りにはいかないようだ。暫定基礎届だけで一日仕事になるんじゃないのか、と不安になりながらも番号札をとって待機することにした。会場では、ビクビクしながらも長い待ち時間を過ごすことになった。その間、本当に心が折れそうな感じになっていたので、手持ちパソコンで作業に没頭。だからと言って心臓のバクバクは抑えられない。調査官は4名。特に右から2番目の調査官は、何だか目の色とオーラが違う。間違い無く厳しそうだ。先立って調査されている方を待機しながら見ていても、明らかに調査時間が長い。増してや調査されている方の雰囲気の変化が半端じゃない。この調査官に調査されている方からは、何かしらの負のドラマを感じる。これはアカン。

時間も2時間が過ぎ3時間が過ぎようとしていた折、いよいよ順番が回ってきつつあった。自分の番号は86番。84番の方が左から2番目の調査官にあたった。この調子でいけば自分が、あの厳しそうな調査官にあたる事は無さそうだ。この調子で進んでくれ、と心の底で叫んでいた。それから数十分が経過し、厳しそうな調査官が85番の札を呼んだ。もう心の中でガッツポーズだ。俺は大丈夫だぁ~~~ッ!!、アリガトウォ~~~ッ!!、と思ったのも束の間・・・。運命の歯車は悪戯にも動き出す。厳しそうな調査官がいきなり、『85番の方ぁ~?、85番の番号札の方ぁ~?、いませんかぁ~?、では次の86番の番号札の方ぁ~!、どうぞ』。何かの間違いであって欲しかった。私の心の中は「うそぉ~~~~~~ん!!、何でなん?!、おーーーい85番ーーーッ。ドコ行ってんのん?!、とにかく出て来てちょうだい。」よりに寄ってこんな時にだ。もうこうなったら聞かれた事を全て包み隠さず正直に話すことを決意した。まぁ~ギャフンと心の中ではぶっ飛んでいたのは言うまでもない。

覚悟を決めて調査官の前に着席。ご挨拶も早々に淡々と質問に答えた。記入漏れのところを指摘されたので記入しつつ、直行直帰であるがゆえの説明をキチンと丁寧に行った。調査も淡々と進み、幸いにして大きな衝撃もトラブルも無く、気が付けば5分6分程度で調査完了。そして最後に調査官と和やかな会話。『個人のようですが良い会社ですね。』「いえいえ、そんな事ありません。まだまだ足らないところだらけです。アリガトウございます。」『ところで、そのTシャツは作られたんですか?』「はい、そうなんです。ユニクロで買って印刷屋さんに持ち込んで作ってしまいました。」『皆さん着てらっしゃるんですか?』「はい、もちろんです。着てますよ。楽に仕事が出来る!!、と笑顔で言ってくれています。』、、、。これで無事に年健調査も滞り無く問題なく完了し、労働保険年度更新の手続を終えるべくして足早に会場を後にした。手続会場でもあるハローワーク三田へ向かう道中、少し思い出したことがあった。あの調査官は実のところ、私が社会保険の認定を受ける際に担当してもらった面接官だったのだ。何か運命的な出会いを感じた。