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「相対性理論を楽しむ本(1914文字)」
私はこの夏、佐藤勝彦の「相対性理論を楽しむ本」を読みました。相対性理論といえば、アインシュタインが提唱した理論として有名ですが、実際にはどのような理論なのかは全く分かりませんでした。この本では、私でも分かるような例を用いて書かれていたので、とても面白く読むことができました。作者は、東京大学大学院理学系研究科教授で、専攻は宇宙論・宇宙物理学です。日本物理学学会会長を務めるなど、宇宙論研究において世界をリードする存在だそうです。
まず、相対性理論はアインシュタインがほぼ一人でその大系を作り上げましたが、他の科学者や数学者たちもあと一歩のところに迫っていたそうです。したがって、この理論は天才にしか理解できない難解な理論ではなく、誰にでも理解できる理論ということができます。相対性理論をあまり知らなくても、例えば場所によって過ごした時間が異なる「浦島太郎」の話や何でも吸い込んでしまうブラックホール、タイムマシンについて興味をもたれたかたは多いと思います。この理論が持つ世界は、私たちの日常生活からは大きく異なる不思議な世界で、このような不思議な話を説明することができるのです。
この理論は、簡単に言うと場所によって時間が異なるということですが、まず相対という言葉から考えました。これは絶対の反義語で「他との関係で成り立つもの」という意味です。しかし、作者が強調していたことは、「どれも正しい」と「どれも平等に価値がある」ということです。つまり、それぞれ異なる時間に基準はなく、どれもが同じ価値を持つということです。本とは関係ありませんが、以前「バックトゥーザフューチャー」という映画でこのような場面がありました。タイムマシンで過去に行くのですが、そこで変えた世界は、もとの世界とは異なる別の世界として独立する。そして、もとの世界と新しい世界は同じ価値を持つということです。そう考えると、一体時間とは何なのか不思議に感じました。
「相対性理論超特急」という章がありますが、これが本当に分かりやすいです。自分が止まっていると、動いているものは長さが縮んで見えます。逆に自分が動いたときは、止まっている相手のほうが細く見えます。そして、自分と同じスピードで動くものは、元のままに見えます。さらに、スピードが上がると、体重がどんどん重くなっていきます。また、動くものは止まっているものより時間の進み方が遅くなります。私も運動しているときは、時間が過ぎるのが早く感じるのですが、それとは全く逆のことのようです。とにかくなぜこのようなことが可能なのか不思議ですが、これには光と重力という二つのポイントがあります。私たちの日常生活で相対性理論を実感できないのは、光のスピードが速すぎるためだそうです。そして、光のスピードには重力が関係しているそうです。ブラックホールでは重力が強すぎて、光は進まなくなります。そうすると、時間も止まっていると考えられています。原理自体は数式を伴うため、この本では扱われていませんが、一つの例としてガリレオの「船から石を落とす」話が出ていました。絵がない状態では説明が難しいのですが、動いている船のマストから石を落とすと、船の中では真下に落ちます。しかし、岸から静止して見ていると、船自体も動いているため、放物線上に落ちていくように見えます。これが見方のずれですが、どちらが正しいということではなく、どちらも正しいのです。もう一つ、動いている電車の例も書かれていました。船の話と同じ理論ですが、ここで光の速度の話が出ます。光はどういうわけかどこから見ても同じ絶対的な速度になるそうで、時間のずれは光の速度が一定に見えることから生まれているように考えられます。
私が理解できたことはここまででした。ここから先は数式を伴うことと、量子学が関係してくるので、理解するにはもう少し勉強する必要がありそうです。この本を読んだことで、理論に関する知識を得たことと、今までに気に留めなかった科学についてもっと知りたいと思いました。これが今回の最大の収穫です。話は後半に宇宙の誕生にまでさかのぼっています。真空というのはじつは電子と陽電子が合体して打ち消しあっている状態で、一瞬のうちに電子と陽電子が生まれては結合して消える状態を繰り返しています。ここから、ある一瞬の確率から膨張を始めて宇宙は拡大していき、今に至るという壮大な話で締めくくられています。そう考えると今現在、私たちがこの地球で生活しているということは、ものすごいことだと思いました。生きているということの見方を少し変えていこう、そう思いました。
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